非接触ICカードと市街地活性化

更新日:09/11/6


1.はじめに

 非接触ICカードの説明を行う前に、RFIDと呼ばれる無線通信技術について説明を行う。 RFIDは「Radio Frequency Identification」の略称であり、電波を用いてID情報を埋め込んだチップと 無線で情報通信を行う技術のことを指す。 通信距離は周波数帯により数cmのものから数mに及ぶものもあり、 その特性によって様々な分野で導入されている。 後述する非接触ICカードもこのRFIDの一種に分類される。 カード型をはじめラベル型、キーホルダー型、リストバンド型など様々なタイプ 1)がある(図 1)。

タグサンプル
図 1 タグの種類


2.非接触ICカード

 非接触ICカードはその通信方式により以下の3つのタイプに分かれる。

・ISO 14443 TypeA
 オランダのフィリップ社が開発した。MIFAREカードとして全世界で最も普及しており
 発行枚数は12億枚2)。日本ではtaspoとして普及している。
 比較的安価で、大量生産に適している。通信には13.56MHz帯を用いる。

・ISO 14443 TypeB
 アメリカのモトローラ社が開発した。
 日本では運転免許証や社会保障カードなど公的証明書として導入が進んでいる。

・FeliCa
 SONYが開発した規格で、現在日本で最も普及しておりその発行枚数は2億枚。
 交通ICカードや電子マネー、携帯電話など様々なものに搭載されている。
 通信には13.56MHz帯を用いる。

TypeA
taspo
  図 2 taspo  
TypeB
住基カード
  図 3 住民基本台帳カード  
FeliCa
IruCa
  図 4 IruCa  

■世界の非接触ICカード普及状況
 日本では圧倒的にFeliCaがシェアを獲得しているが、世界的に見るとMIFAREカードの普及枚数のほうが圧倒的に多い。
 ※FeliCaカード2.5億枚に対してMIFAREカード12億枚3)

■NFC
 NFCとはNear Field Communicationの略称であり、FeliCaとMIFAREの上位互換の通信方式を持ち
 ISO/IEC 18092として規格化された。これから普及が望まれる。


3.非接触ICカードの普及

 高松琴平電気鉄道では、非接触ICカードを使って電車・バスの運賃精算ができるサービスを 2005年から導入している。同カードは「IruCa」と呼ばれ、2009年現在同カードの販売枚数は 15万枚以上に達しており、乗客の80%近くが利用するなど高い普及率を誇る。また地域電子マネーとして 沿線ではIruCaを使って買い物できる店も広がっている。2009年4月には香川大学の学生証・職員証も 全てIruCa機能つきのICカードになり、高松市役所の職員証カードにも導入される予定である。 香川大学の学生証はこのIruCa機能に加え、全国の大学で採用されているFCFフォーマット4)による 「学生識別ID」、大学生協で利用可能な「生協カード」、「FeliCaポケット」など多くの機能が搭載されている。 さらに特筆すべきことは、地域の若者人口のうち香川大学生の人口に占める割合が高いことである。 2008年の資料5)では、香川大学の19〜22才の学生数は5,513名であり、香川大学の所在市町村である高松市及び 三木町の同年代人口の32%を占めていることを示している。また香川大学全体で見ても15%と高い比率である(図 5)。

図5
図 5 香川県の19〜22才人口から見た香川大学生の存在感

 つまり市街地活性化システムに学生証ICカードを用いることで、若者世代の高い比率の参加が期待できる。 少子高齢化が進む地域社会の発展には、若者との地域住民の交流機会を増やし若者を街に定着させていくことが必要不可欠である。 他にも香川県下に普及している非接触ICカードとして、共通クーポンや観光スタンプラリーなどの「めぐりんサービス」で使用されている 「めぐりんカード」(約3万枚発行予定)、香川県の観光案内を行う「てくてくさぬき」でスタンプラリーやクーポン発行に使用されている 「てくてくカード&てくてくIruCaカード」(約3千枚発行)なども存在する。

図6
図 6 香川県下のICカード

4.市街地活性化システム

4.1 食を通じた市街地活性化

 本研究では、利用者が特定の場所に来ることで、商店街の飲食店のメニューやサンプルの一覧を閲覧できる 仮想フードコートを形成する情報システムを提案する。ひとつの店舗の日替わり定食の情報も、それだけでは小さな情報にしか過ぎないが、 同じカテゴリで街中の情報を集め表示することで興味深い「街のコンテンツ」になる。本研究では街のサービスや商品の情報発信をより簡単にし、 情報配信の負担を軽減させるために店の店主などが携帯電話等で簡単に画像を送信し、街の一画に設置した大型ディスプレイ上に表示するシステム を設計した。

4.2 情報発信拠点

 実験対象のトキワ街商店街には、香川大学の拠点「ミッド・プラザ」(図 7)が2009年に開設された。ここでは大学の講義を行うだけでなく、 地域住民との交流や議論を行う交流塾なども開催されている。また音楽情報を発信する「ブリーザーズ・スクエア」(高松市が運営) が併設されており、若者の情報交流の場所となっている。
 

ミッド・プラザ
図 7 ミッド・プラザとブリザーズ・スクエアの概観

4.3 システム全体図

 開発を行うシステムは、主に4つの機能を持つ
  • 店からのメニュー画像投稿を受付け,メニュー画像と店情報を紐付けるもの
  • 大型ディスプレイにメニュー画像を一覧表示するもの
  • ユーザ端末で選択した店の情報や評価サイトへの案内をプリントするもの
  • 利用者のアフォーダンス取得評価や口コミ情報を受付けるもの
これらの関係を表したシステム全体の概要図を図 8に示す。

システム図
図 8 システム概念図


//システムの詳しいお話はまた今度


   参考


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